「ワイドリムのホイール」と「25Cのタイヤ」の組み合わせが増えてきているようですね。
ワイドリムのホイール「ボーラ・ワン50(クリンチャー)」と25Cのタイヤ「コンチネンタル GP4000 S2」を半年余り使ってきました。
そして先日、レーゼロカーボンと交換するために、久々にキャリパーブレーキ(BR-6800)の裏面を見たんですね。
そしたらまぁ、たった半年(約500km)で予想以上の擦り傷があったという訳です。
「9000系デュラ・6800系アルテ」と「5800系105」のキャリパーブレーキの違い
シマノのコンポーネントは、グレードによって性能や重量に違いがあります。
でも同じ世代のパーツなら、グレードが違えど基本的な仕様は同じと思っていました。
キャリパーブレーキについても、9000・6800・5800の各シリーズはデュアルピボット採用で、見た目で大きな差は分かりません。
ところが、使用できるタイヤサイズの上限に違いがありました。
「BR-9000/6800」は、直径25mmまでのタイヤ。
それに対して「BR-5800」はそれよりも太い28mmまでのタイヤに対応しています。
下の写真は6800系アルテグラのキャリパーブレーキに、実測で約27mmある「コンチGP4000 S2(25C)」を使用していたケースです。
500kmほどの走行距離で写真のように擦り傷だらけ…。
一方で2年近く使ったBR-5800の裏側は綺麗なままです。
当初この違いは
「5800系キャリパーブレーキは23Cのタイヤしか使っておらず、クリアランスに余裕があったため」
と思ったのですが実際はそれだけではなく、5800系は6800系よりも太いタイヤに対応していて、そもそもクリアランス自体が違ったわけです。
「ワッシャー外径」と「アーチ裏面」の位置関係にご注目ください。
まずは旧アルテグラ「BR-6800」です。
ワッシャー外径よりも外側にブレーキアーチ裏面がきています。
お次は105「BR-5800」です。
ワッシャー外径よりも内側にアーチ裏面がきています。
ボルト(ワッシャー)の位置はフレームに対して一定なので、それだけキャリパーブレーキの天井部分が高くなっているということですね。
更に「BR-R8000」、新アルテグラです。フレームに装着したままの写真で見にくいのですが、105(BR-5800)と同じような位置関係になっています。
旧型デュラ・アルテのブレーキ(BR-9000・BR-6800)で、25Cのタイヤを使っている方は裏面の擦り傷にご注意を!
キャリパーブレーキの対応リム幅について
さて、縦方向のクリアランスの違いは分かったのですが、横方向はどうなっているのでしょうか?
従来のシマノ11速(9000・6800・5800)のキャリパーブレーキの説明書は以下のように記載されています。
旧アルテグラのブレーキ(BR-6800)で使用可能なリム幅は、
アルミ・カーボンともに基本的に「19.6mm~24mm」
となっています。(ただしカーボンリムは薄いシューを使えば28mmまで対応可能)
ここで言うリム幅は、リムの外側の幅(ブレーキ面の幅)だと思われます。
ホイールのスペックにある「C15」や「C17」はリムの内側の幅なので、それとは別の数値ですね。
リム内側の幅 < リム外側の幅 < タイヤの幅
一方、フルクラム公式サイトの情報によると、レーゼロカーボンのリム幅(外側)は「24.5mm」。
厳密にいうとシマノの推奨より0.5mmサイズオーバーです。
ちなみにボーラ・ワン50(CL)のリム幅(外側)は24.2mmで、これまた微妙にオーバーでした。
まぁ、0.2~0.5mmのオーバーですし、24mmまでというのはあくまで「推奨」ですからね。
シュー自体も消耗して厚みが変化していきますし、薄いシューに変えるだけで28mmまで対応させているぐらいですから、あまり神経質にならなくても良さそうです。
さて、ここで「28Cのタイヤに対応している」という新デュラ・新アルテのブレーキの取説を見てみます。
あれ?リム幅の下限は「19.6mm ⇒ 20.8mm」と広がっているけど、上限は24mmのまま…
28Cのタイヤに対応したといっても、横方向に関するスペックは新旧アルテで大きな差はないようです。
ちなみに新しいデュラのチューブラーホイール「WH-R9100-C40/60-TU」ですが、リム外幅がなんと28mmあるそうです。
カンパニョーロ製コンポのブレーキ情報を調べたのですが、ダイレクトマウントタイプのものが32mmのタイヤまで対応しているということしか分かりませんでした。
「BR-R8000」開封の儀
BR-6800が25Cのタイヤまで対応しているといっても、実測ではそれ以上に太いわけですし、精神衛生上よろしくありません。
まだ新しい上にブレーキ性能に不満があったわけではないのですが、新アルテグラのブレーキ「BR-R8000」に交換することにしました…。
中身は前後本体と取説、長さの異なる枕頭ナットという定番のセットです。
一応重量も調べておきます。
新旧対決!「BR-6800」と「BR-R8000」の違い
前後合わせた公称重量については
新型アルテグラ(BR-R8000) | 360 (g) |
旧型アルテグラ(BR-6800) | 335 (g) |
となっていて、25gの重量増となっています。
おそらくブースター採用などの剛性アップによるものでしょう。
見た目の違いはどうでしょうか。
写真左側の新アルテの方が、より黒っぽい感じです。
というか単独で見ると「ほとんど黒」です。
新アルテのブレーキですが、旧アルテと並べてみると微妙にアーチ先端の幅が狭くなっているようです。
図解するとこんなイメージです。
動作時のブレーキアームの角度を見比べると、新型アルテグラのブレーキアームは旧アルテに比べ、ホイールに対して平行に近づいているような感じです。
BR-R9100で導入された剛性を上げるための「ブースター」も同様に採用されています。
そして気になる新旧アルテのブレーキ性能の違いですが…
わかりません!(;’∀’)
というのも、使用しているのが熱に弱いカーボンホイールなので、長時間シューをリムに当てたままのブレーキの掛け方をしていません。
ですから、短時間ギュッと握って制動力がどう違うとか、私にはわかりません…。(スミマセン)
でももしアルミリムのホイールで比べたら、多分「BR-R9100」の時みたいなインプレになるのでしょう。
新型対決!「BR-R9100」と「BR-R8000」の違い
新型同士の公称重量については
新型デュラエース(BR-R9100) | 326 (g) |
新型アルテグラ(BR-R8000) | 360 (g) |
となっています。旧アルテより剛性を上げてそれでも9グラム軽いわけですから、やっぱりデュラのスペックは凄いなぁと思います。
ちょうど手元に新デュラと新アルテのブレーキが揃ったので、外観を比較してみました。
新アルテ単体で見ると黒色にしか見えなかったのですが、「ダース・ベイダー」みたいと言われる新デュラと並べると、
「ああ、黒じゃなくてグレーなんだなぁ…」
と認識できます。
そして左右アームの隙間から見える金属パーツの太さが違いますね。
こちらは新アルテ。細いシルバーのパーツが覗いています。
対して新デュラの方は、太くて黒いです。見た目だけでなく、性能差にも影響するのでしょうか…??
更に細かい外観の違いを挙げますと、ピボットのボルトの色(素材?)
ケーブルを固定する部分の金属パーツの色とか。
いろいろ細かいところで違いがあるようです。
全体の見た目のことですが、新デュラは全体が鏡面仕上なのに対して、新アルテは鏡面部分とそうでない部分に分かれています。
あとケーブル調整ナットに続くアームの部分の面取りが微妙に違います。(どうでもいい)
新デュラと新アルテの実際に使用してみてのブレーキ性能の違いですが、同じ条件で使っていませんし、やったところでどうせ分からないと思います。ゴメンナサイ(;’∀’)
ホイール脱着時のタイヤとシューの干渉について
「なんだかワイドリムのホイール、25Cのタイヤに変えてから、ホイールの脱着時に「タイヤ側面」と「ブレーキシュー」が干渉しやすくなった…」
もしそう思っても、それはブレーキが太いタイヤに対応していないせいではありませんよ。(たぶん)
「25Cのタイヤ」といっても、人気のある「コンチ・GP4000S2」や「ミシュラン・プロ4」は実際には27mmぐらいの幅があります。
ホイール脱着時にタイヤとブレーキシューが干渉する原因は
- 「リム外幅」と「実測のタイヤ幅」の差(ギャップ)が大きい組み合わせの場合
- ブレーキレバーの「あそび」を小さく取った場合(リムとシューの隙間を狭めに設定)
だろうと思われます。
そして、それは新型デュラ・アルテのブレーキに交換しても解消されませんので、ご注意を。
まとめますと、
ワイドタイヤでも十分なクリアランスを確保:28Cタイヤ対応(シマノ公式)
この意味は、「タイヤ接地面」と「ブレーキアーチ根元」とのクリアランス(上下方向)が広くなった
ということで、左右のクリアランスは関係なかったみたいですね。
たぶん変わったのは赤い枠の隙間。
ブレーキ裏の擦り傷を知ってしまうと、「BR-9000/6800」で「自称25Cのタイヤ」を使用するのはちょっと不安です。
なおコンチの25Cでも「GP 4シーズン」という耐久性をアップしたタイプなら実測も25mmみたいです。
「GP4000 S2」のサイドカットに悩まされた人には好評のタイヤのようです。
余談
あと「レーゼロ・カーボン」と「ボーラ・ワン」とのリム外側の幅の差「0.3mm」ですが、交換するとブレーキレバーのあそびが思っていた以上に変わります。
似たようなワイドリムのホイール同士ですが、気になる方は「ケーブル調整ナット」で微調整が必要かもしれません。
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