「乙女スプロケ」と「ロングケージのRD」を取り付けました。
その後の調整作業の様子です。
RD-5800 GSの調整作業
シマノのディーラーマニュアルに記述されている大まかな流れは下記のとおりです。
- トップの位置でガイドプーリーが真下より少し外に来るようする
- インナーケーブルを初期のびを取った後固定
- ローの位置でガイドプーリーが真下に来るようにする
- 「Bテンションアジャストボルト」でチェーン詰まりを調整
- 2段目と3段目を使って(テンションの)調整ボルトでインデックスを調整する
文章にするとたった5項目ですが、コツがわからないとハマる作業です。
①トップ位置でのガイドプーリーの位置合わせ
ケーブルを固定する前ですので、RDには全くテンションがかかっていない状態での作業です。
トップギアの外面の真下にガイドプーリーが来るようにH側の調整ボルトを回します。
紛らわしいですがトップギアとガイドプーリーの中心面を揃えるのではなく、トップギア外面とガイドプーリーの中心面を合わせるようです。微妙な調整ですね…。
この作業は特に問題なく行えると思います。
②ケーブルの固定
マニュアルでは「一度固定した後、引っ張って初期伸びを取り再度固定」とあります。
今回は新品のケーブルに変えたわけではないので初期伸びは考慮せず、たるみに気を付けながら固定しました。
ケーブルがたるまない程度に引っ張りながら固定をするわけですが、この時の「引っ張り加減」が後のインデックス調整作業を楽にするか大変なものにするかのカギだと思います。
極端なことを言いますと、
- 固定時の引っ張りが弱い ⇒ シフトダウンが上手くいかない(ロー側へチェーンが登って行かない)
- 固定時の引っ張りが強すぎる ⇒ 勝手にシフトダウンしたり、シフトアップが上手くいかない(トップ側へチェーンが下りて行かない)
という状態になります。
シマノの11速STIは1速あたり約2mmのケーブルを巻き取ったり緩めたりするそうです。
STIでケーブルのテンションを変え、RDを動かしシフトチェンジを行っています。
ケーブル固定時の引っ張り加減で2mm程度の誤差は容易に発生すると思われます。
それが後でのインデックス調整の難易度の違いになってくるのだと思います。
後でケーブルのテンションの強弱を調整するにあたって、固定ボルトをいじらなくてもテンションの調整ができるようにしておきます。
ケーブルの調整ボルトを完全に正ネジ方向で締め付けた状態から少し(1~2回転ぐらい?)緩め戻しておくことで、テンションを強めることと弱めることの両対応が可能です。
(参照)「ねずみ屋」様のブログ
- シフトワイヤーを固定する時の引っ張り加減がキモ。むやみに強く張ればいいものでもない。
- RDのケーブルテンション調整ボルトを完全に締めた状態から少し戻しておくと、テンションを緩める調整もできて便利
③ロー位置でのガイドプーリーの位置合わせ
この時STIレバーでシフトダウンしてローギアに入ればこの作業も簡単に終わります。入ればですけど…。
ケーブルを理想より弱く固定してしまった場合
固定したケーブルが緩いとロー位置までRDを引っ張り切れず、ローギアに入りません。
ローギアに入らないと当然ガイドプーリーの位置合わせなんてできず先に進めなくなる、ということになりますが、この場合調整ボルトをさらに緩める(反時計回りにまわす)ことでインナーケーブルのテンションを強めることが可能です。
STIレバーがローギアの状態でクランクを回しつつ、調整ボルトを1/4回転ずつ反時計周りに回していきます。
だんだんとケーブルのテンションが高くなってくるので、
「2速でガチャガチャ鳴っていたチェーンが、ガチャンと1速に入る」
あるいは
「3速でもたついていたチェーンが、ガチャチャンと一気に1速まで移動する」
という状態になると思います。
こうなればロー位置でのガイドプーリーに位置合わせ作業ができます。
ケーブルを理想より強く固定してしまった場合
逆にケーブル固定時に強く引っ張りすぎるとシフトダウンした時に途中のギアで「飛ばし」が発生したり、ローに入れた時「チェーン落ち」する場合があります。
調整ボルトを正ネジ方向に締めることでケーブルが緩んでテンションが下がりますので、これもクランクを回しながら調整ボルトを少しずつ右に回して各ギアに入るように調整した後に、ローに入れてガイドプーリーの位置調整を行うといいと思います。
ついでにこの段階で行ったインデックス調整のまとめ
クランクを回転させつつシフト操作を行い、「シフトのインデックス」と「実際のチェーンのギア位置」を照合します。
例えば
シフトで9速(3段目)に入れたのに、チェーンが10速(2段目)にいる場合はワイヤーの張りを強める調整
逆に
シフトで9速(3段目)に入れたのに、チェーンが8速(4段目)にいる場合はワイヤーの張りを弱める調整
といったように、クランクを回しつつ各ギアに入れてみて、必要であれば調整ボルトを回す、という作業をしていくといいと思いました。
とても微妙な調整作業ですので、調整ボルトは1/4回転、あるいは1/8回転ぐらいずつ回すといいと思います。
また、以前CDR214をSTI化する時にも感じたのですが「クランクを回しながらきちんとSTIレバーを操作する」ということは結構むずかしい作業です。乗車時とレバーに対する力の加え方(向き)が違うので、レバー操作がきちんとできていないミスをインデックスの調整ミスに勘違いしがちです。
各ギアに入るようになったら、微妙な変速フィーリングの調整を行う前に一度乗ってみた状態でシフト操作をして確認するといいかもしれません。意外と大丈夫かも!?
④Bテンションアジャストボルトによる調整
スプロケットとガイドプーリーの間の距離を調整します。
ガイドプーリーから送り出されたチェーンがスプロケットのギアにかかるまでの隙間の調整です。
この隙間が狭いほど、変速がスパスパ決まるそうです。
ですが、あまり近づけすぎると変速が悪くなる、あるいは変速しなくなるそうです。
Bテンションアジャストボルトとはリアディレイラ―の取り付け軸に対して垂直方向に付いているネジです。
ちなみに私が取り付けた時は工場出荷時の状態で、中間ぐらいのネジの締め位置でした。
チェック方法は「フロント=インナー」の状態で、ロー側とトップ側の両側でクランクを逆回転して「チェーン詰まり」がなければOKです。
と、さらりと書きましたが「チェーン詰まり」とは具体的にどういう現象なのでしょうか?
ググってみると「チェーンがスムースに流れない状態」とか「スプロケットのギアとプーリーが接触している状態」とか出てきます。
私は音のなめらかさは気にせず、クランクを逆回転させてチェーンにひっかかりがなく変速が問題なくできれば良しと判断しました。
実際に調整してみた結果、私の場合ボルトを一番緩めた状態(近づけた状態)でも特に問題ないようです。
【追記 2016年5月4日】
最初は上記の状態で問題なかった(と思う)のですが、チェーンが汚れるにつれ(?)不都合が生じるようになりました。
クランクを逆回転させた際、フロントアウター状態でインナーを通り越して内側にチェーン落ちすることが頻発するようになりました。
逆回転時にチェーン詰まりを起こしてチェーンがたるんでしまい、さらに無理に逆回転させた時にチェーン落ちしていました。
そこでBテンションアジャストボルトを締めこんで、インナーローでクランクを逆回転させてもチェーンがつまらない状態までギアとガイドプーリーの距離を拡げました。
ただあまり広げ過ぎると、以前書いた下記のような状態になるのでご注意を。
逆にボルトを締めて遠ざけていくと、変速のとき隣のギアにかかるチェーンが「スチャッ!」と移っていたのが「ブワァチン!」とロープを叩きつけて波を起こしたような感じで移るようになり、「あぁ、確かに変速性能が落ちるなぁ」と確認できました。
⑤2段目・3段目を使ったインデックスの調整
私は③のところでインデックスの調整を追い込んで行い、各段問題なくシフトチェンジできることを確認済みでした。
ですからここでは微調整というレベルの作業になりました。
ギアを2段目にセットして、そこから3段目に移すべくハンドル右大レバーを内側へ押し込みます。
で、カチッと変わる手前の遊び一杯の状態でレバーを維持して、チェーンが3段目ギアの外側と接触して音がしていることを確認します。そしてレバーから手を離せば音が消えていればOKです。
接触している音といってもわかりずらいので、実際には「2段目でレバー解放 ⇔ 3段目に向けて遊び分レバーを押し込む」という作業を繰り返し、音が大きくなったり小さくなったりすればOKだと思います。
ところでなぜこの調整を1段目(トップ)と2段目の間で行わないかという理由ですが、トップ位置だと①の作業で外への振り幅が制限されています。ガイドプーリーが右に自由に動けないので、トップ位置では正確な調整ができないということらしいです。
3-4段や他ではダメなのでしょうかね?
簡単!? ボルトの回転方向とガイドプーリーの移動方向の覚え方
ガイドプーリーの調整の時、ガイドプーリーを移動させたい方向を確認して、マニュアルでトップ側・ロー側で右回しか左回しか確認する…、面倒ですよね。
簡単な覚え方を思いつきました!
半円を描くイメージで。
トップ側(H)なら12時の位置から6時の位置に向かってくるっと回す。(トップだから上からスタート)
ロー側(L)なら6時の位置から12時の位置に向かってくるっと回す。(ローだから下からスタート)
半円を描く向きがボルトの回転方向で、半円を描いた後、横に伸ばした直線の向きがプーリーの移動する方向です。
いかがでしょうか…。(^^;)
2回目のRDの調整を行ってみた感想
CDR214をいじった時の経験もあり、結構スムースに調整できました。
俺って天才!と思ってリアディレイラ―を眺めていると、頭の中にあるセリフがよぎりました。
「見事だな。しかし小僧、自分の力で上手くいったのではないぞ。その105の性能のおかげだということを忘れるな!」
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