先日組み上げたピナレロに、新たに購入したカーボン製シートポスト「3T IONIC 25 LTD」を取り付けました。
「3T IONIC」を選んだ理由
このシートポストを選んだ理由ですが、何と言っても「独特のヤグラ構造に惹かれたから」です。
私のシートポスト遍歴
今まで使ったことのあるシートポストです。
メーカーなど | 素材 | オフセット | ボルト |
PROMAX製 | カーボン | 後方オフセット | 1本締め |
Bianchi純正 | アルミ | 後方オフセット | 1本締め |
Profile Design FFA | アルミ | 前方オフセット | 2本締め |
Thomson Elite Inline | アルミ | 0オフセット | 2本締め |
Fi’zi:k Cyrano R1 | カーボン | 後方オフセット | 2本締め |
3T IONIC | カーボン | 後方オフセット | その他 |
PROMAX製カーボン
「Bianchi IMPULSO」の完成車に付属していたものです。洒落っ気こそありませんが、カーボン製で軽く、初心者でも扱いやすい一本締めです。こだわりがなければこれで十分かも。
Bianchi純正アルミ
フレームと色を合わせるためだけに購入しました。何度か高さを調整しているうちに表面の塗装が削れてしまい、汚くなってしまいました。
ProfileDesign FFA
ヒルクライムの時の前乗りを快適にするために購入しました。
73°のシートチューブ角を、78°相当に変えてくれる品物です。
38mm前方にサドルを出すことができます。
トライアスロンなどで、ロードバイクをTTバイク風なポジションにするために使う方が多いようです。
初めての2本締めヤグラでした。ちょっと重たい印象。
Thomson Elite Inline
オフセットがないトムソンのシートポストです。だんだんとサドル位置を後退させつつある中で購入した2本締めです。
サドル面の傾き具合が一目でわかる目盛りが付いています。
Fi’zi:k Cyrano R1
一周回って後方オフセットに戻す際に購入した2本締めカーボンです。サドルが「アリオネVSX」だったので、合わせるためにフィジークを選びました。現在もビアンキで使っています。
3T IONIC 25
組み上げたピナレロに装着するために今回購入しました。
素材の違い「カーボン or アルミ」
カーボン製とアルミ製と両方のシートポストを使ってきましたが、素材による乗り心地の違いは私にはわかりません。
カーボン製は軽いことがメリットです。
一方でカーボン製のデメリットはトルク管理です。
ポジションが定まらずシートポスト高を試行錯誤したい時期は、ライド先で気軽に調整できるアルミ製の方が便利だと思います。
オフセットの違い
ヒルクライム時に座りやすいサドル位置を求めて前方オフセットのシートポストを購入したり、ゼロオフセットのものを購入したりもしました。
しかし前乗りするとアソコへの負担が大きくなるので、一般的な後方オフセットのシートポストに落ち着いています。
よく言われていることですが、サドルを前に出すと車体が不安定になります。「手放し」をした時に実感しました。
最近は宮澤さんが本で仰っているように「サドルを後ろに引いて、サドル高を下げて、腿を上げる」ペダリングを心がけています。
1本締め or 2本締め
ロードバイクに乗り始めたばかりで、現物を触ったことがないと「2本締め」の説明を読んでもイメージしづらいかもしれません。私は実際に自分が扱うようになって、ヤグラの構造の違いを理解できました。
完成車についていた1本締めのシートポストは、真横からボルトを1本回すだけでサドルレールの締め付けが緩んで調整可能になります。
その時、サドルの前後がフリーになるのと同時に、サドル面の傾斜もフリーになってしまいます。
ボルトを締める時はサドル面の傾斜に注意しつつ、前後位置を調整しないといけません。
目的の位置にサドルを調整できたと思っても、サドル面が微妙に「前上がり」や「後ろ上がり」になっていると「やり直し」です。これが結構面倒です。(-_-;
また締め付けトルクが甘いと、信号待ちから漕ぎ始める時に「ガクッ」とサドルが前下がりになったりします。
2本締めの場合は前後のネジの締め具合でサドル面の傾斜を調整します。
目的のサドル面の傾斜が一旦出てしまえば、サドルの前後位置を調整する時は後ろのボルトだけを緩めることでサドルレールをずらし、再び同じトルクで締めれば最初のサドル面の傾斜が(ほぼ)再現できます。
(この方法が合っているかどうかは分かりませんが、2本締めヤグラの前のボルトだけ指で回せるようなダイヤルがついているのは、アーレンキーのアクセスのしづらさを軽減するためだけではないように思うのですが…。)
このように、2本締めヤグラはサドル面の傾斜の微調整をやりやすい構造です。
その代償として作業が少し面倒なこと、サドルの形状によっては前方のボルトが回しづらい場合があります。(横から見てサドル面とレールの隙間が狭いと作業しづらいです。穴あきサドルだと作業しやすいです。)
「3T IONIC」開封の儀
購入したのは直径31.6mm、長さ280mmのタイプです。
取説のほかにステッカーが入っていました。
重量測定です。
ヤグラの芯部分なしで110g。
DiffLockの芯は81g。合計191gですね。
部品の全貌です。
シートポストにも溝があります。
2つの円筒のピッチの違う溝を組み合わせて角度の微調整を行う仕組みです。
赤い円筒はカバーで覆って収納します。カバーと円筒の間を締め付けることで、サドルレールを固定する構造です。
「3T IONIC」の特徴
IONICシリーズの特徴はサドル位置を調整する際の、
- 「前後方向」
- 「傾斜(水平方向)」
の2つが完全に独立している点です。
前後方向の調整に関しては、左右両側の2本のボルトを緩めることで可能になります。
傾斜(水平方向)に関しては、2つのギザギザ付きの円筒の溝をずらすことで可能です。(「DiffLock」と呼ぶそうです。)
サドル面の傾斜の調整は2本締め以上にキッチリと調整できますが、作業としては面倒です。
「3T IONIC」のメリット
- サドルの前後位置を調整する際、サドルが全く傾かないので、前後位置の調整に専念できる。
- ボルトが横からのアクセスなので、サドルバッグをイチイチ取り外さなくていい!
「3T IONIC」のデメリット
- サドル面の傾斜を試行錯誤したい人にとっては面倒かも。
【まとめ】「3T IONIC」はこんな人におすすめ
- サドル調整の際、座面が勝手に傾くストレスから解放されたい。
- サドルバッグを付けたまま、サドルを調整したい。
たまたまハンドルバーが3TのAeronovaだったので、シートポストも同じ3Tブランドと思って探し始めたのですが、思わぬ良品に出会うことができました。
ポジション出しで「シートポスト高」も頻繁に変えたい方は、シートクランプを締める際にトルクにシビアにならなくて済むアルミ製のPROシリーズの方がおすすめです。
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