前回の続きです。
電動アルテグラにチェーンを取り付ける
シマノには自転車全般の作業の基本手順を示した「ディーラーマニュアル 基本作業書」という文書がありまして、そこにチェーンの長さの決め方も書いてあります。
「ロード用、フロントダブル」の部分を抜粋すると、チェーンの長さの決め方は2通りあって、どちらを使うかはスプロケの最大歯数で決まります。
- 27T以下のスプロケしか使用しない
- 28T以上のスプロケを使用する
つまりコンパクトクランクかどうかとか、リアディレイラーがSSかGSかということは関係なく、スプロケの最大歯数で決めるようです。最近の完成車は最大28Tがついている物が多い印象なので②の方法で決めるケースが多そうです。
そして今回ピナレロで使うボーラ・ワンは「CS-9000(11-28T)」が装着してあります。
ですから、フロントの50Tとリアの28Tにリアディレイラーを通さずにチェーンを架け、そこから2リンク分余裕をみた場所で切ればいいわけです。
「CS-R9100の30T」や「CS-6800・5800の32T」を使う予定ならば、そちらのスプロケを装着した状態で切らないと短すぎる状態になってしまうことに後で気づいたのですが、どうせブレーキシュー交換したりするのが面倒なので、ずっとボーラ・ワン履きっぱなしにするからいいや、と自己弁護。
そして更なる「選択ミス」に気付いてしまい、凹む…。
「28Tまでしか使わないなら、変速性能の劣るGSでなくSSにしておいた方が良かったのに…orz」
さて、実際に「アウター×ロー」のギアにチェーンを架けてみました。
購入したのはシマノの最高グレードのチェーン「CN-HG901」です。
ちなみに「SIL-TEC」コーティングされているチェーンは、速乾性のあるパーツクリーナー類を使うと傷みやすくなるそうです。
おすすめは中性洗剤での洗浄だそうです。
手でチェーン端同士を重ね合わせて、何リンク目で切るか目安をつけます。
この時アウタープレート側は残すようにして、逆側をカットします。
この点は辛うじて記憶に残っていましたが、滅多にやらない作業なので忘れている事項が多いです。
どうやら10リンク目を切ったことになりますね。
ミッシングリンクを使わない場合は付属のアンプルピンで繋いで終わりなのですが、ミッシングリンクを使うので反対側のアウタープレートが付いたアウターリンクもカットしてインナープレート同士が向き合うようにします。
そこへミッシングリンクを挿入します。
今回Wiggleで見つけたKMC製でないものを使用しました。
Wippermann Connex11の特徴はこんな↓感じです。
- ミッシングリンクは(メーカーとして)使いまわしはNGだけど、こちらはOK?。
- プレートもミッシングリンクよりしっかりしていて曲がりにくそう。
- ミッシングリンクは専用工具がないと外せないが、こちらはチェーンをたるませてリンク部分を「くの字」にすると簡単に外せる。
KMCの物より値は張りますが、頻繁にチェーンを外して洗浄したい方は耐久性に優れるこちらの方が良さそうです。
残念ながら日本の通販サイトでは取り扱いがないようです。
下の図のように、90度に曲げて重ね合わせると簡単にはまります。外す時も同様です。
今までKMCのミッシングリンクを(自己責任で)洗浄のため数回脱着していますが、現在のところ問題ないようです。
触った感じもKMCの物が薄くて手で曲げることができそうな感じなのに対して、こちらはちょっと厚みがあって簡単に曲がらなさそうです。
いざリアディレイラーを通してチェーンを繋いでみると、短すぎたんじゃないかと不安になるような引っ張り具合です。
Di2機器の選定
いよいよ最終段階、Di2システムの構築です。
Di2専用の必要機材は以下の通りです。
- バッテリー&バッテリー台座
- ジャンクションB
- ジャンクションA
- 充電器&ACケーブル
- メディアケーブル(内装式バッテリーの場合はほぼ不要)
- ワイヤレスユニット(オプション)
- エレクトリック・ケーブル
1.バッテリー&バッテリー台座
セットみたいなものですが、予備としてバッテリー本体だけも購入可能です。
バッテリー&台座をフレームの外に付ける「外装式」と、シートチューブの中に隠す「内装式」があります。
- 外装式…バッテリー本体「SM-BTR1」とバッテリー台座「SM-BMR2」のセット(私の場合、古いタイプの台座「SM-BMR1」が付いていました。)
- 内装式…「SM-BTR2」(台座不要)
SM-BMR1はファームウェアのアップデートをかけると、SM-BMR2と機能的に同等品になるようです。(というかアップデートしないと9070系や6870系には認識されないらしい)
PCに接続してDi2機器のアプデや設定ができる「SM-PCE1」を一緒に購入したので特に問題はありませんでした。
今新規に購入するなら「SM-BMR2」になるのですが、ややこしいことに3種類あります。
- SM-BMR2-L…ボトルケージ用の穴を使って固定。台座下部から出たケーブルを取り回す。
- SM-BMR2-S…バッテリー台座用の穴で固定。台座下部から出たケーブルを取り回す。
- SM-BMR2-I…ボトルケージ用の2つの穴の間に、ケーブルを通す穴があるフレームの場合。
最近は完全内装式の「SM-BTR2」が主流っぽいので関係ないかもしれませんね。
ところで外装式の場合は簡単に取り外して専用の充電器で充電できます。
内装式の場合「イチイチシートポストを抜いて引っ張り出すの面倒じゃね?」と思ったのですが、そんなことをしなくてもジャンクションAの充電口を使ってエレクトリック・ワイヤー越しに充電できるそうです。
2.ジャンクションB
ジャンクションとか横文字を聞くと何だか凄い電子機器みたいですが、要はUSBハブみたいなもんで、エレクトリック・ケーブルを「まとめる&分岐する」ためのパーツです。
特にこのジャンクションBはPCと繋いでも機器として認識されないという、まさに物理的な「ただの箱」です。
(ジャンクションAはファームウェアが搭載されていて機器として認識・表示されます)
このジャンクションBの役割は、RD、FD、バッテリー(台座)から伸びる3本のエレクトリック・ケーブルを収納して1本にし、ジャンクションAに繋ぐことです。
ジャンクションBをフレームの外に取り付ける外装式「SM-JC40」と、ダウンチューブの中に隠す内装式「SM-JC41」の2タイプがあります。
直接視認していませんし、PCに接続しても表示されないので確証はありませんが、私のフレームに入っているのは内装式の「SM-JC41」だと思われます。
3.ジャンクションA
このジャンクションAと呼ばれるパーツ、5種類ぐらいあるようですがロードなら2択です。
- 標準タイプ(3ポート)…「SM-EW90-A」
- TTバイク用(5ポート)…「SM-EW90-B」
エアロバーの先にブレーキ1組とシフトスイッチ1組を取り付けるなら5ポートの「SM-EW90-B」、普通のSTIレバーの場合は3ポートの「SM-EW90-A」ですね。
最後に書いてあるようにレックマウントにアダプターつけ、それに取り付けました。
4.充電器&ケーブル
外装式バッテリー「SM-BTR1」なら、「充電器(SM-BCR1)」と「電源ケーブル(SM-BCC1)」の2点を購入する必要があります。
なぜセットでないのか理解に苦しみますが、どちらかだけが壊れた場合の再購入を配慮してなのでしょう。
充電器なのにバッテリー異常をチェックするファームが載っているせいか、いい値段しますよね…。
電源ケーブルはノートPC等でよく見かけるタイプなので、規格が合えば流用できるかも。ちなみに純正品には「7A、125V」と書いてあります。
内装式バッテリー「SM-BTR2」は充電器をジャンクションAに繋いで充電するので、違うタイプの「SM-BCR2」です。
ちなみにこの充電器「SM-BCR2」ですが、次に出てくる「メディアケーブル」も(ほぼ)兼ねています。
メディアケーブルはPCに繋いで、Di2機器のファームウェアのアップデートや設定を行うものですが、このSM-BCR2はそれの代わりにもなるようです。
つまり
- 外装式バッテリー「SM-BTR1」を使う場合は、「充電器&電源ケーブル」を買って、更に「メディアケーブル(SM-PCE1)」も必要。
- 内装式バッテリー「SM-BTR2」を使う場合は、多機能充電器「SM-BCR2」を買って終わり。
これは外装式バッテリー、廃れそうですな…。
5.メディアケーブル
名前と異なりケーブルではなくボックスです。
中身は「本体」と「Di2システムに接続するためのケーブル2本」、あと「PCに接続するためのUSBケーブル1本」です。
こちらはPCとつなぐためのUSBケーブル。
そして本体とDi2を繋ぐケーブルです。本体側の端子は専用の形状でエレクトリックケーブルの形ではありません。
これは上記のように外装式バッテリーを使う場合、Di2機器のファームウェアをアップデートを行うために必要な機器です。
これがないと自転車屋さんか持っている知り合いにアップデート等をお願いすることになります。
ガジェット好きな方ならあったら楽しいですけど、同じ値段でゲーム機器買った方がもっと楽しいかもしれません…。
(ST-6870とかの値段に比べると高く感じないけど、冷静に考えるとなんでこんな小さく軽いただの箱が2万もするのか首をかしげます)
6.ワイヤレスユニット
ワイヤレスユニットとは、ガーミンEdgeなどANT+規格で通信できる機器に、ギヤの位置やバッテリー残量などDi2に関する情報を送信するための機器です。
特に電動デュラ(9070系)の場合、ST-9070に搭載されている「リモートスイッチ」でガーミンEdgeを遠隔操作できるようです。
(参考)http://www.ysroad.net/shopnews/detail.php?bid=330716
ガーミンEdgeを持っている方なら、折角Di2を導入したのだから表示したいですよね。
何よりDi2のバッテリー残量を表示できるのが安心です。ですから「買い」です。
キャリパーブレーキの舟と比較した写真です。小さいです!
シマノの図を見ると配線上は「RDージャンクションB」の間、取り付け場所は「チェーンステー」になっていますが、多分「ジャンクションA~RD・FD・バッテリー」の間のどこに挿入する形になっても大丈夫なようです。
ですからスッキリ取り付けられるジャンクションAの近くに挿入しました。
こちらも最後にあるようにレックマウントのType17のボルト部分に巻き付けました。
2017年2月10日 追記
現在、iPadやiPhone、android端末からDi2の調整ができるアプリがシマノからリリースされています。
これらのアプリは昨年末に発売されたBluetooth LE対応のワイヤレスユニット「EW-WU101」等をつけないと使用できないので、これから購入される方はSM-EWW01でなくEW-WU101を購入すべきです。
うーん、失敗…。
7.エレクトリック・ケーブル
そして配線、ケーブルです。
両端に端子がついた電気ケーブルなので、機械式のワイヤーのように切って短くできませんし、1本を2本に分けることもできません。
ですからケーブルの長さは慎重に決めないといけません。
前述の「ワイヤレスユニット」を取り付ける前提で考えますと、必要なエレクトリック・ケーブルの本数は
- RD - ジャンクションB
- FD - ジャンクションB
- バッテリー(台座) - ジャンクションB
- ジャンクションB - ワイヤレスユニット
- ワイヤレスユニット - ジャンクションA
- STI - ジャンクションA (2本)
で、合計7本です。私の場合1~4は取り付けた状態で譲っていただいたので、5と6を2本、計3本追加購入しました。
5は装着イメージから予想して最短の150mmにしました。
6のSTIからジャンクションAまでのケーブルの長さですが、巻尺で測ったら350mmだと微妙な感じだったので400mmにしました。
レックマウントでDi2ジャンクションA他を取り付け
レックマウントを使ってサイコン・ライトと一緒にDi2のユニットを取り付けてみました。
取り付けたもの
- Garmin Edge 820J(サイコン)
- Cateye VOLT 700(ライト)
- SM-EW90-A(ジャンクションA)
- SM-EWW01(ワイヤレスユニット)
必要なレックマウント
- Type 17(REC-B017-GM+GP)
- 変換アダプター GP規格 CATEYE(キャットアイ) H-34N対応ライト用(GP-CATHL2)
- 下部アダプター用 シマノ Di2ジャンクション スペーサー タイプ2(Di2-EW90-Specer2)
注意点としまして、私が今回ベースで使ったマウントはType17というステムボルトの下2本を使って固定するタイプです。
このタイプを使うときは、下にかませる3の下部アダプターは、フラットタイプ(Di2-EW90-400Spacer)は干渉して付きません!必ず段差がついているタイプ(Di2-EW90-Specer2)にしましょう。(間違え実践済み)
Type9などのハンドルバーに固定するタイプならフラットな下部アダプター(Di2-EW90-400Spacer)でも大丈夫だと思います。
なおキャットアイのライトを取り付けるためには、別途下のアダプターも必要です。
さて、次回はDi2の調整の様子、そして完成です!
長文読んでくださってありがとうございます。m(__)m
コメント