サイコンとして業界標準ともいえる「Garmin Edge」シリーズ。
実際に「Vector 2J」と「Edge 520J」をペアリングし、「Edge 520J」で表示される画面や、「Garmin Connect」上に残るログ等についてまとめてみました。
「Vector 2J」に対応する「Garmin Edge」シリーズ
公式サイトの情報によると、Garmin Vector 2 J に対応している Edge シリーズは以下のようです。
- Edge 1030
- Edge 1000
- Edge 820
- Edge 810
- Edge 800
- Edge 520
- Edge 510
- Edge 500
色々なメーカーのパワーメーターを Edge シリーズで使うことができますが、純正の「Vector」シリーズをペアリングした場合に限り「サイクリングダイナミクス」というデータを表示することができます。
この中で「サイクリングダイナミクス」をグラフィカルに表示できるのは、現時点ではEdge1030・1000・820・520の4機種です。
これら以外では数値だけ表示されるようです。
サイクリングダイナミクスとは
パイオニア製のパワーメーター(ペダリングモニター)は単なるパワーの計測に留まらず、ペダリングスキル上達に繋がる様々なデータの取得表示や解析が可能です。
サイクリングダイナミクスは「簡易版ペダリングモニター」という感じです。
①ペダルに力が加わっている範囲(角度)がわかる
Vector 2J では上死点を0°として「何度から何度までペダルに力が加わっているか」が薄いブルーで表示されます。
さらにその間で最も踏み込んでいる範囲を濃いブルーで表示します。
初期設定では全体の50%以上のパワーを生み出しているところが濃いブルーで表示されますが、この%はEdgeの設定で変更可能です。
ガーミンではパワーが出力されている薄いブルー表示の部分を「パワーフェーズ」、一番踏んでいる濃いブルーの部分を「パワーフェーズピーク」と呼んでいます。
私の場合、座る位置を前後するとパワーフェーズの位置(範囲)も変わります。
②ペダル面の中心を踏めているかどうかがわかる
これはペダル型パワーメーターである Vector 2J ならではの機能と思うのですが、踏み込んだ力がペダルの中心から外や内にどれぐらいずれているか表示してくれます。
(ガーミンではプラットフォームセンターオフセット(PCO)と呼んでいます)
サイクリングダイナミクス画面の中段に表示されている情報がそれで
- ブルーの線は過去30秒間のペダルの踏込位置のプロット
- レッドの線は過去10秒間のペダルの踏込位置の平均
です。ブルーの線のばらつきが少ない方が同じ位置を踏めていることになり、効率がいいそうです。
ペダル軸より外側を踏んでいたら+何ミリ、内側だったら-ミリという数字で表示されます。
これは単にクリートの取付位置をもうちょっと外にするか内にするか調べるためのものではないようです。
クリートの位置を変えなくても、サドルに座る位置を前後するだけでこの数値が変わります。
また同じ位置に座っていても、足底への力のかかり方を意識するだけで数値が変わります。
パワーメーターがあると使えるEdge520Jの機能
Edge 520J ってサイコンだから「速度」や「ケイデンス」等を表示するだけのもの、と思っていませんか?
パワーメーターや心拍計があると、なんと Edge 520J で「FTP」や「VO2 Max」が測定できてしまうんです!
①VO2 Max(最大酸素摂取量)
必要な物:パワーメーター、心拍計
VO2 Maxとは、激しい運動をした際、人が体内に取り込むことのできる酸素の一分間あたりの最大量です。
単位は、ml/kg/分で、体重1キログラム当たり、一分間で何ミリリットルの酸素を摂取するかを表します。
つまりVO2 Maxは、運動能力の指標であり、自身のフィットネスレベルを向上させるために増やす必要があります。
~ Garmin Edge 520J のマニュアルより ~
以前「NHK チャリダー」で猪野さんと筧さんが計測用マスクをつけた状態でスピンバイクを漕いで、お二人の VO2Max を調べるシーンがありました。
正確な VO2Max を知りたいならこのように本格的な機材で行う必要があります。
しかし目安程度で良ければ Edge 520J で分かってしまうんです。
パワーメーター、心拍計をペアリングした状態で20分以上のトレーニングを行うと、自動的に VO2 Max を計算してくれます。
(参考)性別・年齢別の VO2 Max のレベル(Garmin Edge 520J マニュアルより)
レベル(男性) 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 優れている 55.4 54 52.5 48.9 45.7 42.1 非常に良い 51.1 48.3 46.4 43.4 39.5 36.7 良い 45.4 44 42.4 39.2 35.5 32.3 普通 41.7 40.5 38.5 35.6 32.3 29.4 悪い 以下 以下 以下 以下 以下 以下
レベル(女性) 20-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳 70-79歳 優れている 49.6 47.4 45.3 41.1 37.8 36.7 非常に良い 43.9 42.4 39.7 36.7 33 30.9 良い 39.5 37.8 36.3 33 30 28.1 普通 36.1 34.4 33 30.1 27.5 25.9 悪い 以下 以下 以下 以下 以下 以下
②FTP値(機能的作業閾値パワー)
必要な物:パワーメーター
FTPとは「Functional Threshold Power」の略です。
日本語にすると「機能的作業閾値パワー」という意味不明な言葉です。
具体的には「その人が1時間出し続けられるパワーの最高値」で、1時間後にぶっ倒れるように一生懸命運動した時のパワー値のようです。
実際に1時間後にぶっ倒れる勢いで運動を行うことは危険なので、それに代わる方法で計測されるようです。
そして、どれぐらいの脚の持ち主かという目安がこちら。
(参考)性別によるFTPレート(W/kg)(Garmin Edge 520J マニュアルより)
レベル 男性 女性 優秀 5.05以上 4.30以上 上級 3.93~5.04 3.33~4.29 良 2.79~3.92 2.36~3.32 普通 2.23~2.78 1.90~2.35 一般 2.23以下 1.90以下
ちなみにガーミンのマニュアルにある上記の数字は下の本を基にしているそうです。
また独自にデータ分析して「剛脚」や「貧脚」の基準を出された方もみえます。
(参照)「ホビーレーサーの剛脚ピラミッド」(つよぽたミア)様のブログ
FTPの算出方法ですが、Edge 520J のFTPページで「自動計算」をONに設定しておき、屋外で20分以上のトレーニングを行うと勝手に計算してくれるようです。
あるいはFTPページの下部にある「FTPテスト」という項目を選択・実行するとワークアウトが始まり、FTPを計測できます。
Edge 520J に搭載されている「FTPテスト」の内容(ゴールFTP=200Wに設定した場合)
- ステップ① ウォームアップ 20分
- ステップ② ゾーン6×3秒 計5分
- ステップ③ ゾーン2×3秒 計10分
- ステップ④ パワー180~220W 計20分
- ステップ⑤ ゾーン2×3秒 計10分
- ステップ⑥ クールダウン (任意)
パワーメーター付きで Zwift をされている方なら、「FTP Test」のワークアウトで計測されると思うので、こちらを使う機会はないかもしれませんが…。
③(おまけ)リカバリーアドバイザー
必要な物:心拍計
これはパワーメーターは不要で心拍計のみあれば使える機能です。
- 心拍計を装着して Edge 520J を使ってトレーニングをします。
- トレーニング終了後、その強度から算出した「疲労回復にかかる目安の時間」を表示してくれます。
- 次回トレーニングを開始してから10分間データを分析、10分経った時点で「疲労の回復具合を3段階で表示」してくれます。
上手に使えばオーバーワークも教えてくれるガーミン様、素晴らしい。
このリカバリーアドバイザーという機能ですが、マニュアルによるとアメリカの「Firstbeat Technologies」という会社が開発した機能のようです。
「Garmin Connect」で分析できるデータ
ガーミン製品ユーザーならクラウド上で運動したログを管理する「Garmin Connect」が無料で使えます。
「Vector 2J」を使い、Zwiftでローラー練をした時のログはこんな感じです。
これらのデータは一回ごとの数字を見て何かを見出すよりも、ある程度回数を重ねて時系列で眺めてどういう傾向があるのか調べるのに役立ちそうな気がします。
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