ロードバイクを購入してから丸1年。
工具としてトルクレンチを購入することにしました。
トルクレンチって何?
何となく工具であることは想像できますが、ロードバイクの世界に入るまで聞いたことすらありませんでした。
トルクレンチとは
- ボルト(ネジ)を決まった力で締め付ける(作業用途)
- ボルト(ネジ)の締め付け具合をチェックする(測定用途)
という目的に使う工具だそうです。
ロードバイクにはたくさんのボルトが使われています。
ポジション調整やパーツ交換をする際、ボルトの脱着作業は避けて通れません。
ロードバイクのボルトのほとんどの箇所に「規定トルク」という締め付ける力のかけ具合を示す値が表示されています。
走行中にボルトが緩んだり外れたりすると事故の元になります。
締め付ける力が弱すぎると静止時は問題がなくても、走行中にガタつきが出てきて外れてしまう場合があります。
自分ではしっかり締め付けたつもりでも、外を走っていると常に路面から衝撃を受け振動している状態なので「想像していた以上にボルトが緩む」印象です。
この辺が家具を組み立てる場合と違うところで、「一度締め付けたら終わり」というわけにはいきません。
力いっぱい締めておけばOK?
規定より弱く締めると緩んで問題が起きるのはわかりますが、強すぎても問題があります。
- パーツやフレーム(特にカーボン)を破壊してしまう
- ボルト自身が壊れる
- 固着してしまい、交換・修理時に外せなくなる
こういった心配があるので、緩んだからといって力任せに締め付けれないところが悩ましいですね。
一度スプロケを外す際に、力を掛ける向きを間違えて増し締めしたことがあります。
ゴッ、ゴッ…とスプロケが回った後、ビクともしなくなり、確認してみて過ちに気が付きました。
改めてそこから逆回転させ緩めようとしたのですが、マジで緩みません…。
すごく焦りました。
最終的には洗濯竿のような中空の鉄パイプを持ってきて柄の部分を長くし、テコの原理を強化したら外せましたが…。
スプロケ交換の際、弱く締めて走行中に緩むのも怖いですが、強く締めすぎても外すのにとても難儀します。
ハンドルやサドルなど「ポジション調整のためのトルクレンチ」
ロードバイクにはたくさんのボルトが使われています。
小さいボルトは小さな力(トルク)、大きなボルトは大きな力(トルク)で締め付けるイメージです。
- 小さいトルクで締め付け … STI・ステム・シートクランプ・シートポスト
- 大きいトルクで締め付け … ペダル・ボトムブラケット・スプロケット
初心者のうちは自分に合ったハンドルとサドルの位置を探す「ポジション出し」に試行錯誤することになります。
そうすると圧倒的に「小さいトルクで締め付ける」作業の方が多くなります。
新品のロードバイクを買った早々にBBやスプロケを交換したいという方は稀だと思いますので、当面は小さいトルク管理ができれば十分かもしれません。
入門用として安くて評判がいいトルクレンチはトピークです。
【Topeak】コンボ・トルクレンチ&ビット・セット
- 付属ビット : 六角 3、4、5、6mm、トルクス T25(計5本)
- トルク測定範囲 : 3~12Nm
出先でのシートポスト高の調整を考えるなら、これまたトピークの新商品「ナノ トルクバー」が評判がいいですね。
プリセットする値を4Nm・5Nm・6Nmの3つから選んで使うタイプですが、これの6Nmタイプをサドルバッグに入れておけばポジション出しが捗りそうです。付属するビットは3、4、5mmとトルクスのT20とT25です。本体にビット2つを収納できます。
カーボンフレームで一番使うであろう6Nmのもの単体なら3つセットより低価格です。
他にもたくさんトルクレンチはあります。
3000円~6000円の価格帯になると付属するビットの種類も増え、トルクレンチ自体の構造も本格的になりますが、低トルクには対応していない商品や低トルク域での精度が悪い商品もあるので、スペックを確認の上ご購入ください。
もう少し予算があるなら、ポジション調整からBB交換まで対応できる「デジタルトルクレンチ」がおすすめです。
SK11製デジタルトルクレンチを購入
安いトルクレンチだと5000円前後からありますが、スプロケやペダル締め付け時の大きなトルクには対応できません。
そこで定番ともいえるSK11製デジタルトルクレンチを購入しました。
SK11のデジタルトルクレンチも対応するトルク範囲や柄の長さで種類がありますのでご注意を!
購入したのは「SDT3-060」という型番のものです。
トルクの範囲は「3~60N・m」で、回転方向も正ネジ逆ネジの両対応なのでペダルにも使えます。(Garmin Vector導入に備えて( ´艸`))
SK11でも十分だと思うのですが、こだわる方にはちょっと値段が高めのKTC製の物が好まれるようです。
実は先日もサドルが「前下がり」にズレるトラブルがありまして…、しかも菰野ヒルクライムのスタート時。orz
結構きつめに締め付けていたのですが、後でデジタルトルクレンチで締め直すと「全然トルクが足りていなかった」ことが判明しました。
デジタルトルクレンチ本体と一緒に買った物
これ単体では使えませんので、先端につける色々なサイズの六角部分を別途購入しました。
「SK11 ヘックスビットソケットセット(3~12mm 差込角 9.5mm (3/8インチ) SHS308BH)」
スプロケットをシマノの規定値40N・mで締めたいので専用の工具を購入。
「シマノ TL-LR15 ロックリング締付け工具」
さらに上記ロックリング締め付け工具をデジタルトルクレンチにセットする際に必要なパーツがこちら。
「SK11 六角ソケット(差込角 9.5mm (3/8インチ) 24mm)(S3-24)」
差込角とはデジタルトルクレンチに取り付けるための正方形の穴のサイズですね。それが9.5mmです。
ロックリング締め付け工具を嵌めるための六角の穴のサイズが24mmです。
ちなみに私は既にスプロケの脱着を行うための「スプロケットリムーバー&フリーホイールリムーバー」を持っています。
ダブっている感じもありますが、
- スプロケットの取り付け ⇒ デジタルトルクレンチ+ロックリング締め付け工具
- スプロケットの取り外し ⇒ スプロケットリムーバー+フリーホイールリムーバー
と使い分ければ、工具の名称通りでスマートな気がします。
インプルソはアルミフレームなので今までトルクレンチの購入を見送ってきました。(他にもっと欲しい物あるし(^^;)
しかしこうして実際に使ってみると、一度もトルクを数字で測ったことがない人間が「想像だけで力を加減するテルクレンチ」がいかにいい加減か痛感した次第です。(当たり前ですね)
トルクレンチにまつわる薀蓄(うんちく)
ボルトが簡単に緩まない理由
これは分かっているようで分かっていなかったのですが、「締め付けることで伸びたボルトが元に戻ろうとして縮もうとする力が発生し、その力で押さえつけるから」だそうです。うーん、なるほど。
シグナル式トルクレンチでのダブルチェックはNG
シグナル式トルクレンチ(あらかじめプリセットしたトルク値になると、ヘッドがカクンとなってお知らせするタイプ)を使っている場合、一度締めたボルトをもう一度トルクレンチでチェックすること(ダブルチェック)は良くないそうです。規定値より増し締めすることになるようです。
トルクレンチを使う時は「持つ位置」に注意
トルクレンチにはきちんと持つべき位置が決まっているそうです。
それよりもずれたところを持つと、設定したトルクと実際に締めつけたトルクとの間に差が出るようです。
(参照)「トルクレンチは正しく持ちましょう!パート2」(工具屋てっちゃんのこれでいいのだ)
SK11の取説には握り位置についての記述はなかったのですが、柄の中央のマークみたいなところに中指が来るように持てば間違いなさそうです。
「締め付け時のトルク管理では、緩み防止の保証は出来ない」が常識
いくら締め付け時のトルク設定をきちんと行ったところで、緩まない保証はないそうです。
(参照)「Yahoo!知恵袋」
ですから定期的なボルトの緩みのチェックは必要なようです。
「対角締め」がベストとは限らない
ロードバイクのメンテナンス入門書でよく見かける解説で、「ステムとハンドルバーを固定する際、4本のボルトを対角の順で締めていく」といった記述がありますが、これがベストでないケースもあるようです。
奥が深すぎる…。
コメント